株式会社Nextremer

株式会社Nextremerは、人工知能がデータを学習して作り出すAIモデルの開発や、データに意味づけをするデータアノテーション事業に携わる企業です。
2025年、高松市にデータアノテーション事業を中心に取り組む高松オフィスを開設しました。
基本情報
| 企業名 | 株式会社Nextremer |
|---|---|
| ホームページ | https://www.nextremer.com/ |
| ご担当者様 | 代表取締役社長 向井永浩様 |
| 本社 | 高知県南国市蛍が丘一丁目1番2号 |
| 香川県の立地場所 | 香川県高松市藤塚町一丁目10番30号 ベストアメニティ高松ビル2階 |
| 香川県に立地した年 | 2025年5月 |
| 香川県での事業内容 | データアノテーション事業 |
香川県に進出した経緯
当社は、AI技術の研究開発、および社会実装を推進する中で、AI(人工知能)の学習に不可欠なデータアノテーション事業の体制を強化してきました。データアノテーションとは、画像・映像・音声・文章などの多様なデータに対し、AIが適切に学習できるよう意味づけやタグ付けを行う工程で、生成AIや自動運転、医療画像解析など幅広い分野のモデル精度を左右する重要な役割を担っています。近年の生成AIブームを背景に、高品質な教師データ*の需要が急速に拡大しており、高い品質基準に対応できる体制整備が求められています。
また、アノテーション作業は、人の判断によって一つ一つ“正解”を付与する高度な作業であるため、事業拡大に伴って新たな人材の確保と育成が不可欠となりました。そこで当社では、この人材確保を見据え、新たな拠点の開設を検討することになりました。
*教師データ:AIが学習する際に「正しい例」として与えられる入力と答えのセットであり、その多くはデータアノテーションによって作られる


香川県への立地を決断した決め手
新たな人材の確保に向けて拠点を検討する中で、本社所在地のある高知県では、すでに一定の採用を進めてきたこともあり、事業計画上必要となる追加人材を短期間で確保するのが難しい状況がありました。一方で東京や大阪は人材は豊富ですが、本社から遠いことや事務所の賃借料や人件費が高いことがネックでした。
香川県高松市に立地を決断した理由は、本社からのアクセスが容易で、四国内や他地域への移動もスムーズに行うことができ、比較的人口が集積していることです。さらに、香川県や高松市の手厚い企業誘致支援や、働きやすい環境も拠点を構える決め手となりました。
香川県からの支援内容
立地協定式で知名度が向上
香川県の支援を強く感じたのは、立地協定式での広報活動です。当初は、香川県における当社の知名度が低く、採用活動にも苦労していました。そのような中、香川県と高松市と当社の3者で開催した立地協定式が、知名度を広げるきっかけとなりました。香川県企業立地推進課の担当者が、立地協定式の場に主要メディアを集めてくれました。池田知事にさぬきうどんの画像でアノテーションを体験してもらうなど、ユニークな企画であったこともメディアからの注目に効果的でした。
企業誘致助成制度による支援
5年間の事務所賃借料の助成により、立ち上げ期のコストを軽減することができました。また、採用に関する助成は、香川県での積極的な人材雇用につながりました。AI技術を持つ人材がまだ少ない香川県では、人材育成に時間がかかります。その育成期間に助成を活用できる点にメリットを感じました。立地から2年間で40人の採用を目標としています。
このような行政手続きは煩雑なことが多いですが、香川県と高松市が密に連携しワンストップで進めてくれたため、制度を利用する側としては利便性の高さを実感しました。また、香川県立地推進課の担当者による情報提供やきめ細やかなサポートも助けとなりました。
香川県に立地してよかった点やメリット
2025年5月に高松オフィスを開設してからは、高松オフィスをNextremer全体のデータアノテーション事業の中核拠点と位置づけています。AIの開発に欠かせない教師データを高品質で提供するほか、AIソリューション事業やAIプロダクト事業とも連携し、技術開発と地域人材育成を両立する重要な拠点として機能させていく予定です。
通勤と生活環境のバランスがよい
事業をスムーズに立ち上げることができた点が進出の一番のメリットですが、ほかにも高松市にはさまざまな魅力を感じています。
たとえば、高松市の中心部は利便性が高く、通勤・生活環境のバランスが良いことや、地方都市ならではの落ち着いた環境で、集中して開発業務に取り組めることです。1カ月ほど香川県に滞在した社員からは、とても居心地がよかったと聞いています。

人材育成や交流を通じてAI基盤を強化
香川県にはAI・IT分野における専門人材の絶対数が少なく、即戦力の採用には時間を要するという課題もありますが、社内研修を通じて人材を育成する方針に主軸を据えています。また、教育委員会や県・市と連携し、当社が主催する小学校でのAI体験学習などの教育活動も実施しています。こうした地域との協働を通じて、子どもをはじめ市民のAIへの理解や関心が高まりつつあり、将来的には香川県におけるAI産業基盤の強化にも寄与できると考えています。

今後のビジョン
高松オフィスをAIデータアノテーションの中核拠点、かつ人材育成の拠点として発展させたいと考えています。AI学習用データの高品質化や自動化技術の研究を進めるとともに、ここ香川県から、新規事業の立ち上げやアノテーションの専門家、多様な人材を輩出していきたいです。
AIや半導体分野への投資が国内でも強化される中、データアノテーションは、専門知識がなくても適切な教育を受ければ幅広い人材が参画できる“地域に根ざした成長産業”です。当社は、香川県で持続的な生産体制と人材育成の仕組みを確立し、瀬戸内から新しい産業をつくり上げる先導役となることを目指しています。