香川県内進出企業紹介

株式会社アーク・ジオ・サポート(AGS)

株式会社アーク・ジオ・サポートは、海底・河川・港湾・ダムなどの水域全般を探査・調査・計測し、高精度な測量データを提供する企業です。2024年、AIを活用して計測データの情報処理や解析加工をおこなう高松事業所を開設しました。

基本情報

企業名株式会社アーク・ジオ・サポート
ご担当者様代表取締役社長 池田克彦様
本社東京都渋谷区本町二丁目18番14号 ブラクサ初台1階
香川県の立地場所香川県高松市田町9-3 フォレストン田町ビル6階
香川県に立地した年2024年4月
香川県での事業内容海底・河川・ダムなどの水域地形のデータの処理解析

香川県に進出した経緯

当社は水中探査・調査・計測を専門におこなう企業です。とくに海底地形の3次元データの取得と解析が強みで、国内外の海洋調査プロジェクトを手がけています。香川県では、高松市の女木地区・男木地区の光回線敷設事業で、通信ケーブルを通す海底調査を実施した事例があります。わずか十数kmの距離ですが、このあたりは潮流が速く、海底は起伏が大きく計測が難しい。漁業権が設定されているエリアで、漁業者との調整も当社が担当しました。

近年は、洋上風力発電のための海底調査の依頼が増加しています。クライアントは国や自治体、民間会社はマリコン(マリン・コントラクター)、そしてゼネコン(ジェネラル・コントラクター)です。着床式の洋上風力発電の建設には、海底の凹凸や鉄塔を支える地盤の調査が欠かせません。海底地形を調べるマルチビーム音響測探機、海底の地層構造をボーリングをせずに音波で調べることができる音波探査システムなど、独自開発した機材を駆使した調査技術を提供しています。日本には測量会社が2万社ほどありますが、この海洋調査技術を専門に有するのは約10社程度しかないかと思います。

香川県への立地を決断した決め手

高松事業所は、測量した海底地形や地質のデータを処理するデータセンター機能として位置づけています。取得したデータを突き合わせてシームレスな状態に処理をしたり、魚や藻といったノイズを除去して正しい地形図面を作成したりする作業を担います。
リアルタイムでデータをやり取りできる時代なので、事業所の場所はあまり問いません。しかし、温暖な気候で住みやすいことや、大阪へのアクセスがよいという点で高松市への立地を決断しました。また、高松市塩江町が社長である私の故郷であり、地元香川に貢献したいという思いも大きくありました。

香川県からの支援内容

香川県企業誘致条例にもとづいた投下固定資産額や事務所賃借料に対する助成、新規雇用者に対する助成の支援を受けています。
今は、東京や大阪でも採用が難しくなっており、人材確保の面では地方の方がうまくいくこともあります。高松事業所を開設して1年半になりますが、香川県の方を10人雇用することができました。当社は理工系・土木系を専門としていますが、データ処理をおこなう業務では学科は問いません。むしろ丁寧さや正確さ、思考力を重視しています。優秀な学生も多く、学生のうちに採用して育てていくことも検討しています。

香川県とミクロネシア連邦の国際交流の一翼を担う

当社は2012年から太平洋戦争の激戦地・トラック島(現・ミクロネシア連邦チューク州)の海底に沈む旧日本海軍艦船を水中音響測探機で測定し、デジタル技術でその姿を再現しています。戦没者の慰霊と戦争の悲惨さを伝えたいという思いで続けてきました。
2025年8月、香川大学で開催した調査結果を紹介した展示会・シンポジウムに、ミクロネシア連邦のシミナ大統領閣下が来訪されました。この取り組みが、香川県とミクロネシア連邦との国際交流の一翼を担うこととなったことは、香川への地域貢献を目指す当社にとって、大きな成果となりました。

香川県の水産業の回復に測量技術と地質技術で貢献したい

瀬戸内海は今、栄養素が減り、生態系が貧弱になっているという課題を聞いています。高松に帰るたびにイイダコを楽しみに立ち寄っていた居酒屋からも、2025年の春頃からイイダコが全く獲れなくなったと聞きました。
そこで今、当社の技術や測量機械を香川県の一次産業、水産資源の回復のために活用できないかと考えています。香川大学で魚の産卵や稚魚の生育場となる藻場の研究をしている教授にコンタクトを取り、技術連携を模索しているところです。実は、藻場はどこにどれだけ分布しているかといった分布と量の分析が難しいのです。将来的には藻場の造成や香川県の水産業の回復につながる支援をしていきたいと思っています。

当社は2026年、創立25周年を迎えます。
これまで前職を含め長年にわたり、水路業務や海洋情報調査業務に尽力してまいりました。
その功績が認められ、今年の水路記念日に海上保安庁長官より感謝状(表彰)を賜りました。
望外のことであり、大変光栄に存じます。

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